突然ですが、イケメンアイドルの妹になることになりました!①
「あっち向いててね…。」


背後でガラっとドアが開く音がして
すぐそこに彼女の気配を感じる。


狭い空間に、着替えをする彼女の肌と服が擦れる音が響く。



なんだ
これ。


心臓がものすごい勢いで、脈を打つ。


中身はともかく見た目は杏奈なんだぞ。


今まで通り普通にふるまえばいいだけだ。



だけど、シャンプーの香りにめまいがする。



「ジュンちゃん…なんか怒ってる?」


彼女は俺の背中にそっと身体を寄せた。


驚いて振り返ると
濡れた髪に赤らんだ頬がこっちを見上げている。


慌てて着替えただろう部屋着が、少し濡れて
身体にしっとりとくっついている。


やばい…

いや、杏奈だ。見た目は杏奈。

ただの友達…。



「な、なに。」

「私のこと…避けてるよね。」


少し責めるように見上げるひまりの瞳に
また心臓が締め上げられた。


「ちょ…ひまりちゃ…。」


やめてくれ。
心臓がもたない…


俺は……


ああ
そっか、俺はひまりちゃんが好きなのか。


今更ながら気づいてしまったんだ。
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