突然ですが、イケメンアイドルの妹になることになりました！①

渡したくない。


泣き疲れて寝てしまったひまを
抱きかかえながら、俺はそう思ってしまった。


俺が見つけたんだ。


俺が…。



俺たちは似ている。

愛なんて信じていない。

なのに愛にすがろうとしている。



(杏奈。)


ひまの顔を見る度に思い出さないわけがない。


くそっ…

全部腹が立った。



杏奈が好きだったはずなのに
もう違う目の前の女に惹かれている…。


それなのに
杏奈のことを忘れられてない自分も…。



心配そうに駆け寄る純大を見たら、
結局、俺はひまを渡してしまったんだ。