突然ですが、イケメンアイドルの妹になることになりました!①
彼らのマンションに
有の運転で向かった。
窓から入ってくる風が
初夏の香りを感じさせた。
有は特に私に話しかけるでもなく
時折、外を眺めながら
軽く鼻歌を歌った。
彼のハスキーな声と
ふんわりとしたブレーキの踏み方が
なんだか心地よかった。
「ひまりは、家族いないん?」
全てを分かっているかのような口調で、
有に問いかけられると
なんでも話してしまいそうになる。
歩道橋で出会った時のことを
思い出す。
「うん、親が離婚してから、施設育ち。」
「へー」
それ以上は聞かないで
また鼻歌を続けた。
同情するわけでもなく、根掘り葉掘り聞くわけでもない。
この話をして、こんな反応をする人は初めてだった。
「じゃあ、今日からは俺たちが家族だからね。」
「え。」
車はちょうど信号で止まり、私が顔を上げると有はそっと私の髪をすくった。
「さ、もうすぐ着くよ。」
有の運転で向かった。
窓から入ってくる風が
初夏の香りを感じさせた。
有は特に私に話しかけるでもなく
時折、外を眺めながら
軽く鼻歌を歌った。
彼のハスキーな声と
ふんわりとしたブレーキの踏み方が
なんだか心地よかった。
「ひまりは、家族いないん?」
全てを分かっているかのような口調で、
有に問いかけられると
なんでも話してしまいそうになる。
歩道橋で出会った時のことを
思い出す。
「うん、親が離婚してから、施設育ち。」
「へー」
それ以上は聞かないで
また鼻歌を続けた。
同情するわけでもなく、根掘り葉掘り聞くわけでもない。
この話をして、こんな反応をする人は初めてだった。
「じゃあ、今日からは俺たちが家族だからね。」
「え。」
車はちょうど信号で止まり、私が顔を上げると有はそっと私の髪をすくった。
「さ、もうすぐ着くよ。」