蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「香津美さん、それの痕ってまさか全部聖壱さんから……?」
思ったことをそのまま言葉にしてしまい、慌てて口を塞いだのですがもう手遅れだったようで。私が余計な事を言ったせいで、香津美さんは顔をもっと赤くしてしまって……
「す、すみません!私……鈍くて気付けなくて。」
考えてみればお二人は夫婦なのですから、それは当たり前の事なんですよね。同じ契約婚として始まった夫婦関係のはずなのに、私と柚瑠木さんとはやはり違うのだと感じさせられました。
柚瑠木さんはずっと必要以上に私に触れようとはしてくれませんでしたから。
ですが昨日は、柚瑠木さんの方から私の髪に触れて……
「気にしないで。もし誰が悪いのかと言えば、こうなった原因を作った柚瑠木さんだけなんだから。でも……何かあったのは私達だけじゃなかったみたいね?」
私を見て「ふふふ」と微笑んだ香津美さん。どうやら私が柚瑠木さんとの事を思い出していたのがバレてしまっていたようで……
「月菜さんが頬を染めて微笑んでしまうような出来事って何なのかしら。私も知りたいわ、ねえ月菜さん?」
楽しそうに腕を組んで私の返事を待つ香津美さんに、私は素直に昨日の柚瑠木さんとの出来事を話すしかなかったんです。