蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「……そうだったの。それにしても、あの冷徹男がそんな事を言えるなんて意外だわ。」
私の話を聞いて本当に驚いた様子の香津美さん。分かります、私だって今思い出してもあれは夢なんじゃないかと思うくらいですから。
「少しずつ本当の柚瑠木さんを見せてくれているんじゃないかと思うんです。いつもと別人みたいで、そんな柚瑠木さんに私の心臓がもたなくなりそうですけれど。」
甘えているようで可愛かったり、強引で男らしい一面もあったり……柚瑠木さんが色んな表情を見せてくれるから、私の胸はドキドキしっぱなしなんです。
「そうよねえ。それにしても柚瑠木さんが「僕に甘えて欲しい」だなんて……ふふふ、月菜さんはいったいどうするつもりなの?」
片肘をつきニヤニヤと私を見ている香津美さん、もう……絶対に楽しんでますよね?私は本当に悩んでいるのに。
「急に甘えろと言われても、私はどう甘えればいいのか分からなくて……」
わたしの下手な甘え方では、柚瑠木さんをガッカリさせてしまうのではないでしょうか?そう考えると怖くなってしまうんです。
「難しく考える必要はないと思うわ。月菜さんが柚瑠木さんと一緒にしたい事や、2人で行きたい場所、何だっていいのよ。それか……《《また》》「ギュッとしてもいいですか」でも喜ぶと思うわよ?柚瑠木さんは。」
思い出したようにクスクスと笑う香津美さん。そうでした、私は昨日柚瑠木さんにそんな我が儘を……!
「同じように言えばいいんじゃない?あら、もうこんな時間ね。そろそろレジデンスに帰りましょうか?」
「……は、はい。頑張ります!」
柚瑠木さんに怒っているはずなのに、香津美さんは私たちのために色んなアドバイスをくれて……たくさんの勇気をもらって、笑顔で別れることが出来ました。