蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「香津美さんに呼ばれて和喫茶に?」
「はい、お昼過ぎに香津美さんからメッセージを貰ったので。たくさんお話が出来てとても楽しかったです。」
いつもよりも早く柚瑠木さんが帰って来たので、彼から渡されたスーツの上着をハンガーにかけながら私は柚瑠木さんに今日の出来事を話しているところでした。
鞄を机に置くと、柚瑠木さんは私の傍へとやってきました。いつもならすぐにノートパソコンを開いて仕事のチェックを始めるのに……
「どうしたんですか、柚瑠木さん?」
彼らしくない行動に少し驚いて柚瑠木さんを見上げてみると、彼は顎に手を当てて考え事をしているようでした。もしかして私はまた何か柚瑠木さんを困らせるようなことを言ってしまったのでしょうか?
「あの……」
「それで月菜さんは香津美さんと、どんな話をしたんですか?聖壱の事ですか、それとも……僕?」
そっと伸ばされて、優しく私の頬に触れてくる柚瑠木さんの指先。今まで無かった触れ合いをごく自然にしてしまう柚瑠木さんに、私は冷静ではいられなくなりそうで……
「私が柚瑠木さんの事で香津美さんに相談に乗ってもらったんです。その……柚瑠木さんにどう甘えればいいかという私の悩みに彼女はアドバイスをしてくれて……」
柚瑠木さんに顔を近づけられて戸惑ってしまった私は、つい和喫茶で香津美さんと話した内容を柚瑠木さんに喋ってしまったのです。