蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「僕が帰ってくるまでに十分考える時間はありましたよね?僕が出した宿題の答え……見せてください。」
柚瑠木さんにそんな風に急かされて、パニックになった私の頭の中をあの時の香津美さんの台詞がグルグルと回って……
『ギュッとしていいですか、でも喜ぶと思うわよ?柚瑠木さんは。』
そうでした、香津美さんは確かにあの私にそう教えてくれたんです。柚瑠木さんが私に甘えて欲しいと思ってくれているのなら、怖がらず素直に彼に甘えてみたい。
本当に我が儘な私も受け止めてくれますか、柚瑠木さんは。
「もう一度……私をギュッと《《して欲しい》》んです。今度は柚瑠木さんから。」
前のお願いの「ギュッとさせて欲しい」を、今度は「ギュッとして欲しい」に変えて。これが今の私のに出来る精一杯のお願い、この時はそう思っていました。
手首を引っ張られて一瞬で目の前が真っ暗になり、自分が柚瑠木さんの胸の中に閉じ込められたのだと気付いたのと同時に……
「上手に甘えることが出来ましたね、でもこれではまだ月菜さんに合格点はあげられません。もっとたくさん甘えて僕を満足させて?」
私の耳元で嬉しそうにそう囁いてくる柚瑠木さんに抱きしめられながら、私は頑張って甘えてみて良かったと思いました。
……でも合格点があるなんて聞いてないです、柚瑠木さん!