蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


「……本当に、月菜(つきな)さんは……ふ、ふふっ。」

 私の頭上から柚瑠木(ゆるぎ)さんの笑い声、今度はハッキリと聞こえて来たんです。彼の笑い声は想像していたのよりもずっと優しく温かくて……

「あ、あの……私何かおかしなことを言いましたか?」

 もしかして今、柚瑠木さんは笑顔なのでしょうか?彼の顔を見たい気持ちを必死で抑えながら、聞いてみました。
 私は時々ズレたことを言ってしまう事があるらしく、今回もそうなのかと思ったんです。だけど柚瑠木さんは……

「控えめすぎると思ったら、今度は急に欲張りになるなんて……ふふ、月菜さんは僕の予想を裏切ってばかりですね。」

 まだ笑いが治まらない様子の柚瑠木さんに欲張りだと言われて少しショックでしたが、私もつい三つもお願い事をしてしまっていて。

「そ、そうですよね。欲張ってしまってすみません、さっきのは聞かなかったことに……!」

 私を抱きしめる柚瑠木さんの腕が緩んだので、少しだけ体を離して彼の顔を見上げたんです。

「駄目ですよ、せっかく月菜さんが上手に甘えてくれたんです。貴女の望み……全部僕に叶えさせてください。」

 そう言って見せてくれたのは、柚瑠木さんのふんわりと優しい笑顔。笑う時はこんなに柔らかな表情になるのですね、柚瑠木さんは。


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