蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
思いきり柚瑠木さんに抱きつけば、彼は少し驚いた後で私の背に優しく腕を回してくれました。何度も抱きしめ合って、お互いの心が暖かなもので満たされていくような気がするんです。
柚瑠木さんの広い胸の中、私は彼の温もりを感じることの出来る幸せで胸がいっぱいだったのです。
……だけど、私は思い出してしまったんです。希子さんが作ってくれた夕食の事を。
「あの、柚瑠木さん。そろそろ夕ご飯を……」
せっかく希子さんに作ってもらった料理を冷ましてしまうのは申し訳なくて、柚瑠木さんにそう伝えたかったのですが……
「まだ離したくない……僕がそう言ったら、月菜さんはどうしますか?」
耳元で甘く囁かれて、私の頭は一気にショートしてしまいそうです。「ずっと離さなくてもいいです」と言ってしまいたいけれど、それでは希子さんのお料理が……!
「ゆ、柚瑠木さん。私は逃げませんので、先に夕飯を食べてくれませんか?」
名残惜しいのは私も同じです。でも柚瑠木さんが望んでくれるのならこれから先も貴方から離れたりはするつもりはありません。だから……
「ご飯の後でなら、もっといっぱい抱きしめてもいいので……」
「月菜さんも、結構狡いんですね?」
お互いの距離をこうやって少しずつ縮めていければ良いと思うんです。
柚瑠木さんの色んな言動にドキドキさせられて、時には彼にもドキドキしてしてもらえるように……