蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
契約結婚でも特別にして?
「……へえ、そうだったの。上手く甘えることが出来て良かったわね、月菜さん。」
料理教室の日、私はあの夜の柚瑠木さんとの出来事を簡単に香津美さんに伝えていました。
あの日の事を思い出すだけで私はふわふわとした気持ちになり、思わず頬が緩んでしまいそうになってしまいます。
「はい、香津美さんのアドバイスがとても役に立って。自分が柚瑠木さんにして欲しいと思ったことをちゃんと伝えることが出来たんです。」
「それは良かったわ。勇気を出した月菜さんの頑張りが柚瑠木さんにも通じたのね。」
そう言って私の頭を撫でてくれる香津美さんは優し気な微笑みを浮べていて……もし私にもお姉さんがいたとしたら、こんな感じなのでしょうか?
香津美さんは私に柚瑠木さんとは違う暖かさをくれる、大切なお友達になってくれました。
「あの……具体的にはどんなふうに旦那さんに甘えてみたのか、聞いてもいいでしょうか?」
「……え?杏凛さん、貴女も匡介さんに甘えられないでいるの?」
いつもは私たちの会話を静かに聞いていることの多い鏡谷 杏凛さん。そんな彼女から突然そう言われて、私も香津美さんも驚いてしまって……
「あ、ごめんなさい!私なんかが勝手に話に割り込んでは駄目ですよね……でも、私も夫への甘え方が知りたくて。」
一番年上のはずの杏凛さんのしょんぼりとした様子に、なんだか私の胸がムズムズしてきます。それは隣にいる香津美さんも同じようで……
「駄目なんかじゃないわよね、月菜さん。それじゃあ、ゆっくり三人でお話ししましょうか?」
こういう時とても積極的な香津美さん、さっさと三人で話が出来るように旦那さんたちを説得してしまいました。本当に、頼りになるお姉さんです。