蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
いつも冷静な柚瑠木さんでも、抑えきれないほど感情が昂る事があるのですね。私の言葉で貴方の心をそんなに動かすことが出来たのでしょうか?
もしかしたら柚瑠木さんは自身の戸惑いを見せてくれているのかも、そう思うと……私の中に隠していた欲が少し出てきてしまって。
「じゃあ、私はもっと柚瑠木さんに気持ちをぶつけることにします。《《私が》》柚瑠木さんにもっとたくさんの初めてをあげられるように頑張ります。だから……」
こんなのは契約違反……そう分かっているのに私の方が、大きく膨らんでしまった想いと昂った感情を抑えることが出来なくなってしまって。
驚いて足を止めた柚瑠木さんのシャツを摘まんで、背の高い彼を見上げて言ってしまったんです。
「だから、お願いします。契約結婚でも、私を柚瑠木さんの特別にしてくれませんか……?」
分かっています、こんな事を言ってはいけないと。もしかしたら柚瑠木さんに契約結婚の終わりを告げられるかもしれない、それも覚悟のうえで……
今のこの気持ちを素直に伝えなければ、きっと後悔すると思ったんです。
「……もう、無理。」
そんな柚瑠木さんのつぶやきが聞こえて、おもわず摘まんでいたシャツを離そうとしたんです。けれどその手はすぐに柚瑠木さんに掴まってしまって……