蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
戸惑う私の手を引いて、無言のまま速足で歩きだした柚瑠木さん。私はそんな彼に小走りでついて行きますが、柚瑠木さんがそんなに急ぐ理由が分からなくて……
「もう、無理」だと言ったのに、私の手を離してくれないのは何故ですか?柚瑠木さんの言葉の裏にある本当の気持ちを私にも教えて欲しいんです。
「あの、柚瑠木さんっ……!」
「今は黙ってついて来て下さい。これは月菜さんが先に言いだしたことなんですから。」
さっきまで優しかったはずの柚瑠木さんの口調が、なぜか厳しくなってしまっていて……やはり私が彼への想いを我慢出来ず、契約の範囲を超えた望みを口にしてしまったからなのでしょうか。
伝えなければ良かった、でもこの気持ちを伝えられずにはいられなかった……そんな思いがグルグルと頭の中で回って。
煌びやかなレジデンスのロビーを通り過ぎ、2人とも無言のままエレベーターへ。
私たちの関係はこのまま終わってしまうのでしょうか?やっとお互いの距離が縮んできたと思っていたのは私だけ?
まだ終わりになんてしたくない、まだ私に出来る事があるはずです。
「柚瑠木さん、私はまだ……あっ!」
「諦めません」そう伝えようとしたんです。ですがポケットから鍵を取り出して扉を開けた柚瑠木さんに手を引かれ、そのまま部屋の中へ……