蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
始めの頃は「お飾りの妻でしかない」とまで言われたのに、私は柚瑠木さんの特別になることが出来たんですね。嬉しくてたまりません。
柚瑠木さんの胸に顔を埋めると、彼の少し早めな心臓の音が聞こえてきます。いつもは冷静な柚瑠木さんも、今は少し緊張していたりするのでしょうか?
「柚瑠木さんの心臓の音、凄く早い……」
「そう言う事は口には出さなくていいんです。僕の鼓動は月菜《つきな》さんだけが感じていてくれればいい。」
柚瑠木さんの言葉に、本当に自分が特別扱いされているのだと実感することが出来ます。こんな甘い言葉を囁かれている、私の心臓の音はきっと彼よりもっと早いはずで……
「もう、ドキドキで胸が壊れてしまうかもしれません……」
「それは駄目です。僕の特別になってくれると言った以上、覚悟してもらわないと。」
覚悟?それは何にでしょうか。そう言った柚瑠木さんは私を抱きしめていた腕を緩めて、もう一度私をドアとの間に閉じ込めました。思い出しました、これって……
「壁ドンって言うのですよね、大学の時のお友達から聞いた事が……」
そう言って柚瑠木さんを見上げると、彼は真剣な表情のまま私の唇に指先を当てて。
「キスしたいから……もう、黙ってて。」