蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
唇に触れたはずの柚瑠木さんの手が、いつの間にか私の顎に添えられていて……そのままそっと上を向かされたので、私も彼の動きに合わせるように瞳を閉じました。
柚瑠木さんとの二度目の口付け。優しく重ねられた柚瑠木さんの唇は、一度目の時よりも熱を帯びているようで……私はその触れ合う感触にうっとりとしてしまっていたんです。
始めは軽く触れるだけのキスだったのに、次第にそれは深さを増していき……私は戸惑ってしまいました。婚約者のいた私には男女交際など許されるはずもなく、本当に何も分かっていなかったのです。
「ゆ、柚瑠木さん、ちょっと待って……」
私は今日初めてキスを経験したばかりなんです。私が慣れるまで手加減してくださいと頼むつもりだったのに。
「待ちませんし、手加減もしてあげません。それでも月菜さんは頑張ってくれるんでしょう?」
私の頬を撫でる手のひらは優しいのに、今の柚瑠木さんはちょっと意地悪なんです。それでも貴方にそんな事言われたら、私は頑張るしかないじゃないですか!
「もちろんです、私は柚瑠木さんの為なら……んんっ!」
でもその気持ちを最後まで言わせてはもらえなかったんです。だって彼の唇が少し乱暴に私の言葉の続きを奪ってしまったから。