蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「謝らないでください、私は何も嫌じゃありませんでしたから。」
これは嘘じゃありません。確かに柚瑠木さんの予想外の行為に驚きはしましたけれど、それもすべて私だけが彼に特別だと思われている証拠なのだと思うと……喜びで胸がいっぱいになるような気がするんです。
それに柚瑠木さんにうまく応えることが出来ない私にも、彼は優しく「教えてあげます」と言ってくれましたし。
「本当に月菜さんは無理をしていませんか?こういうのは僕だけが一方的に望んでも意味がない事なので……」
それでも心配そうに私を見つめてくる柚瑠木さん。ああ……本当にどうすればいいのでしょうか、そんな旦那様の事が可愛くてしょうがないんです。
「いいえ、少しくらい無理させてください。私は少しでも早く、もっと柚瑠木さんに望まれるような妻になりたいのですから。」
そんな優しさばかりを貰っていては、私は甘えて努力することを忘れてしまうかもしれません。だけど私はもっと柚瑠木さんに釣り合うよう頑張りたいんです。
そういう思いを込めて、私は柚瑠木さんに向かって微笑んで見せました。
「本当に月菜さんは、いつも一生懸命で……」
柚瑠木さんのその後の言葉は小さくてよく聞こえなかったんですが、私の聞き間違いでなければ……
『月菜さんは……いつも一生懸命で可愛らしい』
と、そう聞こえた気がしたんです。