蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


「……だから、僕もどんな時の月菜(つきな)さんにもときめいています。貴女と同じようにどれが一番かなんて選べませんけれど。」

 柚瑠木(ゆるぎ)さんの言葉にカカカッと顔が熱くなるのを感じます。柚瑠木さんはわざと私と同じような言葉を使って私に自分の気持ちを伝えようとしてくれているのでしょう。

 ……柚瑠木さんも私と同じように、妻である私の事を想っている、と。

「そんな事を言われてしまうと、調子に乗ってしまうかもしれません。私は柚瑠木さんの……」

「良いのではないでしょうか、調子に乗っても。僕の妻はとても素敵な女性なのですから、もう少し自分に自信を持っていいはずです。」

 遠回しな誉め言葉、それでも柚瑠木さんはそんな風に私の事を思っていてくれたんですね。それに彼は私の自信の無さにも気付いてくれていて。
 そんな私に柚瑠木さんは、もう少し自信を持っていいと言ってくれるんです。家族からも「もっと努力しなさい」とばかり言われ続けてきた私に。

「私、自信持ってもいいんですか?私には香津美さんの様な美しさも、強さも無いのに……」

「心配しなくていいんです。僕の妻は香津美さんではなく、努力家で素直なところが可愛らしい……月菜さん、貴女なのですから。」


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