蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
柚瑠木さんの腕が伸びて来て私の腰に回ったと思うと、そのままグイっと彼の方へと引き寄せられて。
「……ゆ、柚瑠木さんっ!」
私はいつの間にか柚瑠木さんの膝の上に座らされている状態でになっていて、彼の腕は私の身体を支えるように当然のようにお腹の前で組まれていて。
こんな事を急にするようになっちゃうんですか、柚瑠木さんは?
『……今なにか、月菜さんの声がしなかったか?』
「聖壱の気の所為じゃないですか?それより前に話していた○○社の事なんですが……」
柚瑠木さんはそう問いかける聖壱さんにいつもと何も変わらない様子で話を続けます。当たり前のように会話の内容を変えているくせに私には「大きな声を出すと、聖壱に聞こえてしまいますよ?」なんて……!
『ああ、その件だが……柚瑠木の言ってた通り少し気になる報告があってまた今度会って話したい。』
柚瑠木さんは聖壱さんと話しながらも、私の髪を梳いたり耳を触ったりとちっともじっとしていてくれません。私は必死で声を出さないように頑張っているのに。
「そうですね、ではまた連絡を下さい……出来る事ならばこれからは昼間に。」
柚瑠木さんは聖壱さんにそう言って通話を切りました。その頃にはもう私は色々と限界で……
「い、意地悪過ぎですよ、柚瑠木さん!」