蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


 柚瑠木(ゆるぎ)さんとの和やかな夕食を終えて、私が食器を片付けている間に彼にはお風呂に入ってもらっています。
 彼は私が今日覚えたお料理の話をすると、今度作って欲しいとお願いしてくれて。香津美(かつみ)さんや杏凛(あんり)さんとの話が楽しかった事にも、良かったですねと言ってくれたんです。
 テーブルを拭き上げ片付けを済ませてると、ソファーに腰を下ろして柚瑠木さんを待ちます。さっきこのソファーで私は彼の膝の上に乗せられて……そんな事を思い出すだけで顔が熱くなります。

「どうしたんですか、月菜(つきな)さん。顔が少し赤いですが……」

 いつの間にかお風呂からあがってきていた柚瑠木さんに声をかけられて、飛び上がるほどビックリしてしまいました。

「いいえっ、何でもないです。」

 先程の事を思い出し、私は変な顔をしていなかったでしょうか?思わず自分の手のひらで、柚瑠木さんの視線から顔を隠そうとしましたが……

「そんな風に顔を隠されると余計に気になるのですが?」

 そう言って私の手首を掴んで顔を覗き込む柚瑠木さん。いつの間にか私達はお互いに自然と触れ合えるだけの距離にいるようになっていて。
 そのことが嬉しいとは思うのですが、あまりジッと見つめられるのはまだ恥ずかしいです。

「私もお風呂に入ってきますね。」

 私は柚瑠木さんの手をそっと外すと、そう言ってバスルームへと逃げ込みました。


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