蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
聖壱さんはきっと、毎晩悪夢に魘される柚瑠木さんのために色んな事をされたのでしょう。それでも苦しむ彼を助けられなかった、だから今度は私に?
「私に、出来るでしょうか……?」
「月菜さんにしか出来ない。今一番柚瑠木の心の近くにいるのは月菜さんだから。」
柚瑠木さんの心の一番傍にいるのは、本当に私なのでしょうか?そんな私の不安も「心配いらない」と言わんばかりに、聖壱さんもその隣に座る香津美さんも私を見て頷いてくれて……
「柚瑠木がいまだに月菜さんと契約結婚という形を壊せずにいるのは、アイツの自信の無さと大切な人に対する不安の表れなんだ。」
「柚瑠木さんの不安……」
聖壱さんの言うそれは、きっと「ますみさん」が関係する事なのでしょう。でもその事が私たちの契約結婚と何の関係があるのかは分からないまま。
「だから月菜さんが壊してやってくれないか?「自信が無い」とか「不安だ」とかそんなこと考えられなくなるくらい、柚瑠木を心から愛して……振り回してやって欲しい。」
「私が柚瑠木さんを振り回すのですか?」
予想もしなかった聖壱さんの言葉に驚いて聞き返してしまいます。だって私が柚瑠木さんに振り回されることはあっても、その逆だなんて……
でも聖壱さんは本気で言っているようで、私にニコリと微笑んで見せると……