蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「ああ。アイツはずっと誰かを愛し誰かに愛されたくて堪らない、そんな本音を隠し続け生きてきた男なんだ。そんな柚瑠木をこんなにも変えてしまう、そんな月菜さんならきっと出来るはずだから。」
確かに私と出会って同じ時間を過ごすうちに、柚瑠木さんは少しずつ態度や雰囲気が変わったと思います。でもそれは私が特別な何かをしたという訳でもないので、聖壱さんの言葉がピンと来なくて。
「でも私は、柚瑠木さんを振り回せるような魔性の女では……!」
男性を振り回せるような女性と言えば、容姿や性格に全てにおいて魅力あふれた方のはずです。例えば目の前にいる香津美さんの様に華やかで美しい人でなければ。
ですが、私は真面目に話しているのに聖壱さんと香津美さんは顔を合わせて笑い出して……
「あの……私また変な事を言いましたか?」
「ははは……いや、それでいいんだよ。そのままの月菜さんでいれば、柚瑠木の方が勝手に振り回されてくれるから。」
柚瑠木さんが方が勝手に?それは私の想像した振り回すとは違うような気もしますが、香津美さんも頷いているので、このままの私でいればいいのでしょう。
「……月菜さんは天然の魔性なのね、これじゃあ柚瑠木さんが冷静沈着なままでいられないのも無理ないわ。さて、そろそろ月菜さんを部屋まで送らなきゃね。」
そう言われて腕時計を見ると、もうすぐ柚瑠木さんの帰ってくる時間です。送ってくれた香津美さんにお礼を言って部屋に戻り、夕食の支度をしながら彼の帰りを待ちました。