蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
ギュッと柚瑠木さんの背に腕を回して、驚きました。私は小柄な方だし柚瑠木さんはとても背が高い、だから彼の背中の広さに本当にビックリしたんです。
父や母を抱きしめた時とは違う……その大きくて固い身体に触れて、はじめて彼が身内とは別の特別な男性なんだと意識させられた気がしました。
ドキドキ煩い心臓、このままどうすればいいのでしょうか?柚瑠木さんはそのままの体勢のまま何も言ってくれないのです。
柚瑠木さんから手を離すべきなのでしょうか?妻からこんな行動をとるのは、もしかしてはしたなかったのかも知れない。いろんな考えが頭の中でグルグル回ります。
「あの、柚瑠木さん……?」
「月菜さん、少しだけ目を閉じていてください。」
柚瑠木さんにそう言われたので、私はギュッと目を瞑りました。
するとゆっくりと額に当てられた柔らかな感触、これはもしかして柚瑠木さんの……?彼に言われた通りに瞳を閉じたまま静かに待っていると、額に触れていた温もりが離れて行くのを感じました。
瞳を開けると、柚瑠木さんはすでに私から離れた場所に立っていて……
「今夜はもう部屋に戻っていいですよ、ゆっくり休んでください。あと……僕が呼んだとき以外はこの部屋の扉は開けないようにお願いします。」
「は、はい。分かりました。おやすみさない、柚瑠木さん。」
私は急いで立ち上がり、寝室から出ました。触れたのはほんの少しだけですが、私の心臓はとてもうるさく音を立てていました。