蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
【ピロリン、ピロリン、ピロリン……】
どうしてこんな時に限って柚瑠木さんのスマホが鳴るんでしょうか?柚瑠木さんの嫌そうな表情で誰からの電話なのかもすぐに分かります。
柚瑠木さんはスマホを床に落として知らんぷりすると、もう一度私の胸に唇を近づけて……柔らかく少しカサついた彼の唇が肌に触れたと思ったら、チクリとした痛み。
柚瑠木さんが満足そうに見ている場所には、彼からつけられた赤い花びらのような所有印。
「僕の印を付けられるのは嫌ですか?」
「嫌じゃありません、嬉しい……です。」
柚瑠木さんが付けてくれた痕を指でなぞって、微笑んで見せました。これは柚瑠木さんが私を独占したいと思ってくれた証しなんです、その事に喜びを感じているくらい。
そんな私の一言で、柚瑠木さんはいつもは冷たい瞳を熱っぽいものに変えて……
「もっと……月菜さんの身体中に僕の印を付けさせて?」
柚瑠木さんが私の身体を浮かせて、服を全て脱がせようとしたんです。でも、そんなタイミングを狙ったように今度は私のスマホが鳴りだして。
【ピロリン、ピロリン……】
この着信音は香津美さんです。そっと柚瑠木さんを見上げると、流石に彼も諦めたような顔をして「出てください」と言ってくれました。