蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「もしもし……」
『もしもし、月菜さん。もう家に帰ったの?柚瑠木さんが貴女の事を心配して電話をかけてきたきり、連絡が取れなくなってて!』
慌てた様子の香津美さん。ああ……柚瑠木さんが私を見つけてくれたその後、香津美さん達に連絡をするのを忘れてしまっていました。ちらりと柚瑠木さんを見ると、彼もその事に気付いたようでスマホを拾って電話をかけ始めました。きっと電話の相手は聖壱さんなのでしょう。
「大丈夫です、柚瑠木さんが私の事を迎えに来てくれて。今二人できちんと話が出来たんです、心配かけてすみませんでした。」
電話では相手には見えないと分かっているのに、ペコリと頭を下げてしまう私。そんな様子を柚瑠木さんに見られてしまって……
彼が片手で口を隠して笑いをこらえながら聖壱さんと話しているのが分かります。
『そう、話が出来たのね。じゃあ二人の時間を邪魔する訳にはいかないわ、またゆっくり会って話しましょうね。』
「はい、今度話を聞いてください。」
香津美さんの優しさに胸が暖かくなるのを感じながら通話を切ると、柚瑠木さんはまだ電話中のようで。駄目だと分かっていても内容が気になり、自然とそちらに耳を向けてしまいます。
「……ええ、そうです。やっと決心がつきましたので、僕に送ってくれますか?聖壱に調べて欲しいと頼んでいた、真澄さんの現在の住所を。」