蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「ではこの野菜を洗って切るところから始めましょうか?」
「はい、頑張ります!」
今まであまりお料理をする事は無かったのですが、不器用な私にも希子さんは丁寧に教えてくれました。隣でエビの下処理をする希子さんの手の動きが早くてびっくりです。
「今日は何を作るんですか?」
「ええ、エビのお料理をね。柚瑠木坊ちゃんは子供の頃からエビが好物ですから。」
柚瑠木さんの好物はエビなんですか、これは良い事を聞きました。早速エプロンのポケットに入れておいたメモ帳に書いておきました。今度本屋でレシピを買って来てみましょう。
「希子さんは柚瑠木さんが子供の頃から……?」
「はい。私は柚瑠木坊ちゃまのお相手役として選ばれましたので。坊ちゃまの勉強を見たり遊び相手もしましたよ。」
凄いです、希子さん。だから柚瑠木さんもこの家の事は希子さんに全て任せることが出来るんですね。いい関係なのだという事が分かります。
「羨ましいです、そういう信頼関係……どうすれば私と柚瑠木さんも築けるでしょうか?」
多分私は少しも柚瑠木さんには必要とされていません。でもいくら契約結婚だからって、このままでいいとも思えないんです。
「奥様……貴女ならきっと柚瑠木坊ちゃんの事を大切にしてくれますね。大丈夫です、あの子は本当は優しい子ですから。」