蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
真澄さんの住所……?今になってなぜそんな事を柚瑠木さんは知りたがっているのでしょうか?やっと私の事だけを見てくれるのかと思ったのに、柚瑠木さんの気持ちが変わってしまったのかと不安になりました。
もしそうではないとしても真澄さんと会ってしまったら、柚瑠木さんの心はまた彼女に戻ってしまうんじゃないかと。
「柚瑠木さん、あの……!」
狡いとは分かっていても、柚瑠木さんの事に「行かないで」と言ってしまいそうになってしまうんです。
そんな私の気持ちに気付いたのか、柚瑠木さんはもう一度私をソファーに座らせると優しく抱きしめてくれて……
「心配しないでください。僕は月菜さんのお陰でこうして真澄さんににお別れを言いに行く勇気が出たんです。もちろん一緒に行ってくれますよね、僕の奥さん。」
「……私も一緒に行ってもいいんですか?」
奥さんだなんて初めて言われました、その言葉にどれだけ愛しさが混じっているのか私にも分かって……嬉しくて涙が溢れてしまいます。
「月菜さんを真澄さんに紹介したいんです。僕の特別な人だと。」
喜びで胸がいっぱいになり柚瑠木さんの上着に頬を寄せると、彼は私の後頭部を撫でながらこう囁いてきたんです。
「僕の苦しみも月菜さんの不安も全部終わらせて……今夜、貴女には僕の本当の妻になってもらいますから。」