蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
契約結婚の先へと進んで…
柚瑠木さんと二人きりの車内で、私は少しだけ緊張していました。柚瑠木さんに早く二人きりになりたいと言われ、どうしてもこの先の事を考えてしまって……
色々と想像するだけで焦りや恥ずかしさでどうしようもなくなるのに、柚瑠木さんはいつもと変わらぬ涼しい顔で運転していて。
ねえ、柚瑠木さん……こんなにドキドキしているのは私だけなんでしょうか?
「少し待っていてくれますか?」
柚瑠木さんはドラックストアの駐車場に車を停めると、私にそう言ってから一人で店内へ。
私はその間に香津美さんにメッセージを送ります。柚瑠木さんときちんと話し合い、過去を受け入れて二人で前に進む道を選んだこと。そして……
「お待たせしました、月菜さん」
カチャリとドアが開いて柚瑠木さんが運転席に座ります。柚瑠木さんは私にドラッグストアの袋を渡すと、エンジンをかけて車を発進させました。
袋の中を覗くと、中にはアロマの入浴剤や香りの良さそうなボディクリーム等がいくつも入っていたんです。不思議に思って柚瑠木さんを見ると、彼は少しだけ困ったような表情で……
「その、僕にはこれくらいしか月菜さんをリラックスさせてあげることが出来ないんですが……」
柚瑠木さんは私が緊張して固まっていたことも、全部気付いていてくれてたみたいです。それでこんなにたくさんの入浴剤を……
彼の飾らない不器用な優しさに、心が暖かくなっていくのが分かります。