蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
私が柚瑠木さんの事を想うのと同じくらいの時間、彼も私の事を見て色んな事を考えてくれている。そういう関係になれたことが嬉しいんです。
これから私達は本当の夫婦になるため、前に進むはずなのですから……
「ありがとうございます。今夜……使わせていただきますね」
柚瑠木さんが望んでくれているように、私だって貴方を自分だけのものにしたいと思ったりするんです。今夜、それが叶うのならば……
「ええ……」
素っ気ない柚瑠木さんの返事。だけど私だって気付いているんです、車のライトを浴びる貴方の頬が少しだけ赤く染まっている事を。
期待だけじゃありません、もちろん初めての事に不安も大きいけれど……その相手が柚瑠木さんなのならきっと大丈夫だと思うんです。
やがてレジデンスの駐車場へと車が止められて、柚瑠木さんに手を引かれ部屋の中へと入ります。それと同時に持っていたドラックストアの袋ごと、柚瑠木さんに抱きしめられて……
「……早く貴女とこうしたかった、こんなに家に帰り着くのが待ち遠しかったなんて初めてです」
柚瑠木さんの付けているいつもは爽やかなフレグランスの香りでさえ、今は甘ったるく感じるほどでした。
自然と惹かれ合うように重なる唇も、当然のように受け入れてしまう彼の舌先も……すべて蕩ける蜜のように甘いのです。