蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


 戸惑う私に柚瑠木(ゆるぎ)さんは少し困ったように微笑むと、優しく私の頭を撫でてくれました。何も心配しなくていい、と言うかのように。

「……お風呂、沸かしてきますね」

 そう言ってバスルームへ向かう柚瑠木さん、優しすぎる彼に胸のドキドキが止まらなくなってしまいそうです。ただでさえ柚瑠木さんはとても魅力的だというのに……
 もし柚瑠木さんにもっと素敵な女性がアピールしてきたらどうしよう、そんな心配ばかりしなければいけなくなりそうです。

「ボーっとして、何を考えてるんですか?」

 スッと後ろから腕を回されて、背中から柚瑠木さんに抱きしめられます。甘えるように私の耳に囁いてくる彼の行動に、心臓が壊れそうなくらいバクバクと音を立てて……
 だけどこれが今、柚瑠木さんが望んでいる私たち夫婦の距離なんですよね?

「ゆ、柚瑠木さんの、事です……」

 恥ずかしいと思いながらも、ちゃんと言葉にします。どれだけ私が彼の事ばかりを考えているのか、その中にある喜びも不安もきちんと伝えたかったから。

「僕も、ずっと月菜(つきな)さんの事ばかりですよ」

 ギュッと抱きしめる腕に力が込められるのが分かります。柚瑠木さんも私と同じように想ってくれてるのですね。とても、嬉しいです……


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