蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「僕の顔を見るためだけに待っていたのですか?いったい何のために……」
柚瑠木さんは私の言っている事がよく分からないという顔をされています。彼には今まで毎日顔を見たいと思うような相手はいなかったのでしょうか?
「元気がどうかを確認したいですし、いつもと変わったところがないかも気になります。毎日顔を見て声を聴いて安心したいんです。だって、柚瑠木さんは私の大切な旦那様なのですから。」
なるべく柚瑠木さんに伝わるように説明したつもりです。私の考えていることが分かってもらえたでしょうか?
「僕が月菜さんにとって大切?……月菜さん。いくら僕が夫だからといって、他人をそう簡単に信頼するべきではないと思いますが。」
何故そんな事を言うのですか?夫の柚瑠木さんを信頼できなければ私は誰を信頼すればいいというのでしょうか。
でも私にそう言った柚瑠木さんの表情もどこか辛そうで……
「柚瑠木さん、私は今まで自分の信じたいものを信じてきました。これからもそれは変えるつもりはありません。だから……私は柚瑠木さんを信頼します。」
「思ったよりも頑固な人なんですね、月菜さんは。」
柚瑠木さんは少しだけ眉を寄せて困ったような顔をされましたけれど、私は自分の考えを彼にハッキリと伝えられて良かったと思いました。