蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


「そうそう、その上俺たちの事をコソコソ嗅ぎまわって。社長の息子だからって特別扱いされて、目障りでしょうがないんだ。」

 コソコソ嗅ぎまわる?私の知っている柚瑠木さんと狭山さんはそんな事をするような人じゃありません。もしそうなのだとしたら何か理由があるはずなんです。
 それに二人とも、きっと身内からの特別扱いなんて望んでないと思いますし。

「まあまあ、お喋りはそのくらいにして……そろそろ始めましょうか?」

 この方は、最初に私に話しかけてきた男性です。50歳くらいの子の方がもしかしてこの人たちの中のリーダー的な存在なのでしょうか?

「ふふふ、これでやっとあの子達に一泡吹かせることが出来るのね。どんな顔を見れるのか楽しみだわ。」

「ああ。関係の無い彼女達には悪いと思うが、恨むのなら余計な事に首を突っ込もうとばかりする自分達の夫を恨むんだな。」

 私達を見て微笑む女性も、すべてを柚瑠木さん達のする男性も……みんな卑怯です。こんな人質を取るような手を使うなんて……!
 悔しい、だけど何もすることが出来ず震えている事しか出来ない。香津美さんから背を撫でてもらいながら、私は自分が情けなくて仕方ありませんでした。

 すると私達の前の小さなテーブルに、男性は2台のスマホを置きました。嫌な予感がしました――――


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