蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
この方が本当に狭山常務本人なのならば、どうして私達を攫ったりしたのでしょうか?こんな事をしていったい何の得があるというのでしょう……?
狭山 聖壱さんも電話の向こうで驚いているようです。身内の方にこんな風に裏切られれば誰だって動揺するのは当たり前だと思います。
それなのに狭山常務は余裕の表情で……
「ああ、だけど君たちの不満を持っているのは私一人ではないよ。君たちだって分かっているだろう?」
ああ、やはりここにいらっしゃる人達は狭山さんと柚瑠木さんの存在を邪魔だと思っていらっしゃるんですね……
酷いです。お2人が周りの人たちに認められるためにどれほど努力をされているのか知りもしないでしょうに。
「……眞二叔父さん、アナタは何が望みなんだ?」
私達が狭山常務たちに捕まってしまっているのを知って、狭山さんは唸るような低い声で狭山常務に問いかけます。
私が柚瑠木さんの妻にならなければ、彼らにこんな迷惑をかけずに済んだのでしょうか?
「まずはコソコソと君達が集めていた私たちの不正データ、この本体やコピー全てを私達に渡しなさい。知らないとは言わせないよ?」
……狭山常務たちの不正のデータ、それは一体何のことでしょうか?
狭山常務が私達を攫ってきたのには何だかいろんな理由があるように感じて……これだけでは済まされないような気がしたんです。
「叔父さんの最初の要求はやはりそれなんだな。で、次の要求はいったい何だというんだ?」
ああ……やはり狭山さんも私と同じ事を思ったようで、狭山常務に確かめているようです。狭山常務は私達を人質にして、どれだけ彼らに無茶な要求をするのでしょうか?