蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「そうですか……」
どうしたのでしょうか?いつもは無表情な柚瑠木さんなのに、私の顔をジッと見てとても複雑そうな顔をしているんです。
もしかしてまた私が何かしてしまったのでしょうか――――?
そう考えてすぐに思い出しました。私が狭山常務たちに攫われて柚瑠木さん達に迷惑をかけてしまったこと……
そして柚瑠木さんが駆けつけてくれた後に、私が彼の腕の中で気を失ってしまったことも。
「すみません、柚瑠木さん!私が迂闊だったばかりに、柚瑠木さん達まで巻き込んでしまって。それなのに私は、気絶なんかして余計な手間を……」
泣きたくなるのをグッと我慢して、目の前の柚瑠木さんに謝る事しか出来ません。
どうして私はいつもこうなんでしょう?頑張っても頑張っても、いつも誰かの足を引っ張ってしまうのです。誰かの役に立ちたいと思っても、空回りばかりして……
「私が柚瑠木さんの妻でなければ――――」
そう、私なんかじゃなく香津美さんのように強く優しくて美しい人が柚瑠木さんの奥さんだったなら……
「一つだけ僕の問いに答えてください。月菜さんの……本心を聞かせて欲しいんです。」
「……なんでしょうか?」
柚瑠木さんが私に聞きたい事ですか……?どうしたのでしょうか、今まで彼はこんな風に私の気持ちを知りたがったことは無かったのに。
「……月菜さん、貴方は僕との契約結婚をまだ続けようと思っていますか?」