蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「あの……柚瑠木さん。これって……?」
私の手元にある書類には表に【計画書】と記されていて、書かれているのがまるで今日の誘拐を最初から予測していたような内容だったのです。
ただ私が一番驚いたことは、私と香津美さんの名前がある横に(囮役)と書いてある事で……私とあの時一緒に攫われた香津美さんが囮役とはどういう事なんでしょうか?
「月菜さんが見たままです。今回、狭山常務を罠にかけるために僕たちが作った計画表です。」
「計画……そして狭山常務を罠にかける……?それじゃあ私は……?」
柚瑠木さんはいったい何を言っているのでしょうか?その言い方だと私が囮になる事は最初から決まっていたみたいじゃないですか。
そんなこと信じたくない気持ちでいっぱいで、私は柚瑠木さんを見上げました。一言で良い「違う」と言って欲しかったんです。
「そうです。僕たちは最初から貴女達を囮にするために結婚を申し込んだんです。僕たちに都合に言い契約結婚という形で……」
もう一つの書類を渡されて、ゆっくりと捲ると今度は私の事を細かく調べ上げた報告書でした。もちろん私が柚瑠木さんに知られたくなかった昔の婚約者の事も……
「僕は見合いの前に貴女の事を全て調べていたんです。最初からこの契約結婚を断る事が出来ないと分かっていて月菜さんを妻に選んだんです。」