蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「確かに今回の事件は怖かったですし、本当の話に私はショックを受けました。」
「はい、月菜さんが怖い思いをしたのは全て僕の所為です。だからその償いは出来る限りさせてもらいたいと思っています。」
償いなんて……私はそんなことまで柚瑠木さんに望んではいないのに。もしかして始めから柚瑠木さんはそのつもりだったのでしょうか?
もし、本当にそうなのだとしたら私にも考えがあります……
「……私の考えを聞いてもらえないでしょうか?私は今でも柚瑠木さんの事をもっともっと知りたいと思ってます。だから柚瑠木さんは私に償いをするのではなく、もっと前向きな気持ちで私と一緒にこの関係を深めていってはくれないでしょうか?」
小さな蕾のような信頼しか得られない夫婦関係でも、少しずつでも変えていけたらいい。そのためには柚瑠木さんにも私の方を向いてもらわなければいけないんです。
「本当に……それが月菜さんの望みなんですか?」
「そうです。柚瑠木さんから頂けるのならば、私は償いなんかよりもこっちの方がずっといいんです。」
私の顔を見て柚瑠木さんは小さな溜息、やはり私は変な事を言ってしまったのでしょう。けれど、私は後ろ向きな事を考えるよりも、彼とは前を向いて生きていきたいんです。
「本当に、月菜さんはいつも僕の予想しない事ばかりを望むんですね……」
少しだけ柚瑠木さんが微笑んだような気がしたのは……やっぱり私の見間違いなのでしょうか?