蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「やっぱり柚瑠木さんも私の事を変な女だと思っていますか……?」
恐る恐る上目遣いで柚瑠木さんを見つめていると、彼は少し考えた様子を見せた後でゆっくりと口を開きました。
「月菜さん、僕は今まで他人に対して特別な感情を持ったことがあまり無いのです。幼馴染の聖壱との関係にも友情を感じているのかよく分からないままで……」
そうだったのですね。こんな風に自分の事を話す柚瑠木さんは初めてで、私は真剣に彼の話を聞きました。
少しは私も柚瑠木さんに信頼されてきたという事だったら嬉しいのですけれど。
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「ですが……本音を言えば、少し嫌な気分になったんです。」
「な、何がですか?」
嫌な気分とはどういう事でしょう?もしかして私がこうやって柚瑠木さんを困らせるからでしょうか?柚瑠木さんの言葉に焦ってしまいます。
「今回の件で月菜さんが契約結婚を解消し、僕の前から去っていく。そんな貴女の姿を想像したら、本当に少しだけ……嫌な気持ちになったんです。」
それって、私が柚瑠木さんの傍から離れていくのが嫌だったって事なんでしょうか?言葉だけならそういう意味に聞こえるんですが、柚瑠木さんの顔は無表情で……
「柚瑠木さんは私に離れて欲しくないんですか?」
「そこまでは言っていません、僕はただ少し嫌な気分になったと言っただけです。」
それでもとても嬉しいです!柚瑠木さんが少しでも私の事を気にかけてくれている、私が傍にいるのが当たり前だと思っていてくれているようで……