蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「そんな事はいいですから、月菜さんはちゃんと休んでください。」
柚瑠木さんは起き上がっていた私の身体を優しくベッドへと押し戻してしまいます。私はもっと彼と話をしたかったのに……ジッと見つめても、やっぱり柚瑠木さんは気にしませんよね?
「柚瑠木さんは休まないんですか?」
私が休んでいるベッドの横に椅子を持ってきて腰かけ、本を読み始めた柚瑠木さんに聞いてみます。もしかして彼は私が気絶している間もずっとこうしていたのでしょうか?
「ええ、今夜はこうしています。月菜さんは気にせず眠ってください。」
柚瑠木さんだって疲れていらっしゃるはずなのに、眠らず起きているつもりなのでしょうか?
気にせずになんて言われても、そんな柚瑠木さんを知らんぷりして私だけのほほんとベッドで眠る事なんて出来ません。
それにこの部屋にはベッドはもう一つあるんですよ、それなのに何故……?
「どうして柚瑠木さんは休まれないんですか?私ならもう……」
もう大丈夫です、心配いりませんと言おうとしたんですけれど。
「別に月菜さんの為ではありません。僕がどうしようと月菜さんは口出ししないで欲しいんですが。」
柚瑠木さんが休まない理由が別に私の為でなくても……それでも、私は柚瑠木さんにしっかりと休んで欲しいんです。だから……
「それじゃあ、柚瑠木さんが休んでくれなければ私は眠りません!」
思い切って言ってみました。こんな子供みたいな脅迫が通じるなんて思ってはいなかったのですけれど。