蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「どうして……ただの契約結婚の夫に過ぎない僕にそこまでするんですか、月菜さんは。」
私の行動が理解できないという顔をされている柚瑠木さん。
私にだってなぜこんなに柚瑠木さんが気になるのか分かりません、もしかしたら私にとって柚瑠木さんは《《ただの》》契約結婚の相手では無いのかもしれません……そんな事はきっと伝えられませんが。
「契約結婚だから相手の事は何も気にしない、そんな事は私には出来ません。私にも少しくらいの心配はさせて欲しいんです。」
こうして私の隣に座っているのは、私の事を心配してでは無いんですか?貴方がそうするのならば、私だって同じように思ってもいいじゃありませんか。
柚瑠木さんはじっと私の事を見た後、本を閉じて立ち上がりました。
「時々、とても強くなるんですね。貴方は……」
私が、強いですか?初めて言われました、ずっと弱いとばかり周りの人には思われているのだと思っていましたから。それなのに……
「え……じゃあ?」
「今夜は隣のベッドで休ませてもらいます。月菜さんが……後悔しても知りませんから。」
それだけ言うと、柚瑠木さんは寝巻に着替えて隣のベッドへ……
別々のベッドとはいえ、私達が結婚して同じ部屋で眠るのは初めてです。ドキドキとなる胸の音はきっと気のせいではないはずです。