蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
どこか苦しそうな柚瑠木さんの声。もしかしすると彼は、私に言ったその言葉をずっと気にしていたのかもしれません。
ずっと私が存在価値のない妻だからそう言われたのだと思っていたのですが、柚瑠木さんには違う考えがあっての発言だったのでしょうか?
だって柚瑠木さんは確かに言葉や態度は冷たかったけれど、何度も優しい所だって私に見せてくれたんですから。
「私は契約結婚でも柚瑠木さんの役に立ちたい、必要とされたい気持ちに変わりはないんです。柚瑠木さんに何と言われたって、自分の気持ちに嘘はつきません!」
柚瑠木さんの背中に腕を回して、私からもギュッと抱きしめてみました。細身だとばかり思っていたのに私よりずっと大きな身体にドキドキが止まらなくて……もっと彼の体温を感じようと目を閉じました。
「……嘘はつかない?月菜さんは絶対に……僕に嘘をつかないのですか?」
私の言葉を信じていいのかと迷い、不安そうな顔をしている。そんな柚瑠木さんの様子に私は少し驚きを隠せませんでした。もしかして彼は人を信じることに怯えているのではないのかと。
「柚瑠木さんに……自分の夫に嘘はつきません。絶対に!」
柚瑠木さんが誰かを信じるのを恐れているのならば、私は彼が信じることが出来るようになるまで頑張ればいい。それだけです!