蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
だけど柚瑠木さんはそんな私の言葉を聞いて、いい顔はしませんでした。どうしてなんですか?もしかして私のこの感情も柚瑠木さんにとっては迷惑なんでしょうか?
確かに私たちの契約結婚の条件に、相手に特別な感情を持っても言ってはならないと書いてありました。それでも私は、今の気持ちを柚瑠木さんに伝えておきたかったんです。
「そんな事ばかり言っていると、悪い夫に良いように扱われてしまうかもしれないんですよ?それでもいいんですか、貴女は。」
柚瑠木さんは自分を酷い夫のように言いますが、私は貴方の事をそんな風に感じたことはありませんよ。
確かに少し言葉が少なくて、無表情だとは思いますが……私がピンチの時は助けてくれましたし、私が欲しがった夫婦箸だって結局買ってくれたじゃないですか。
「良いように扱われても構わないと思ってるんです、それが柚瑠木さんなら。」
「本当に、月菜さんは……!」
初めて少し怒ったような顔を柚瑠木さんが見せたかと思うと、そのまま私の腕を掴んでちょっとだけ距離を取りました。それが私は悲しくて……
「やはり私では柚瑠木さんを癒す事も出来ないんでしょうか?」
「違う、そうじゃないんです!だけど月菜さんがそんな事ばかり言えば、僕だって……」