蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
私は子供の頃、祖母にこうしてもらうと落ち着いて眠れたんです。だから柚瑠木さんにもそうしてあげたい。そう思っていたのですが……
「僕を子ども扱いしていると、後で泣くのは月菜さんだと思いますけれどね?」
柚瑠木さんらしくない言葉を耳元で囁かれたかと思うと、掴まれたままだった腕を引っ張られて柚瑠木さんと抱き合うような形でベッドに寝転ばされたんです。
横になり抱きしめ合うと、普段は意識していなかった柚瑠木さんの意外と男らしい身体のラインまで気になってしまって……
だからつい言ってしまったんです。
「ビックリしました、柚瑠木さんて細いのに筋肉質なんですね?」
「……僕はここまで言っているのに、少しも危機感を持たない貴女に驚いています。」
柚瑠木さんに心底呆れたようにそう言われて、思わずシュンとしてしまいます。でも夫に危機感を抱くって何か変じゃないですか?
「柚瑠木さんは私に警戒されたいと思っているんですか?」
「僕を警戒して欲しいわけではありませんが、月菜さんにあまり男として意識されていない気がしたので。」
柚瑠木さんを男性として意識してない?そんなこと無いです。こうして抱きしめ合うだけでも、私の心臓はバクバクうるさいですし……顔だってすごく熱いんですよ。
柚瑠木さんの方こそ、いつもと変わらない無表情じゃないですか。