蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
けれども私の事を放っておけないって、それは柚瑠木さんが私の事を少しくらいは気になってくれていると思っていいのですか?
だって、どうでもいい相手にそんな事は感じないですよね。どうしよう、すごく嬉しいんです。
「……ですから、月菜さん。」
ちょっとだけ気持ちがふわふわしたところで、柚瑠木さんの冷静な声に現実に引き戻されます。そう言えば前にもこういう事があったような気がします。
喜ばせるような事を言った後に「でも貴女が特別なわけじゃない」と、ちゃんと釘を刺してくるのが柚瑠木さんなんです。
それなのに今夜の柚瑠木さんは……
「これから先は他の男性にこんな風に一生懸命になったり、特別に信頼したりするのは止めて下さい。そんなのは夫である僕だけで十分ですから。」
「柚瑠木さん?それって……?」
まさかとは思いますが、私が他の誰かに同じことをすれば嫉妬するという事なんですか?もしかして、私に柚瑠木さんだけを特別扱いして欲しいって言ってます?
「柚瑠木さん、可愛いです……」
そんな事を言われてしまうと、私の胸がキュンキュンと苦しくなってしまいそうです。
柚瑠木さんに対するほのかだった恋心が、彼の新しい一面を見たことで一気に育ってしまいそうで……