蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「どうしましょうか、心臓のドキドキが止まらなくなってしまいました……」
今までこんなにも誰かの言葉にときめいた事なんて無くて、高鳴る胸に手を置いてもちっとも落ち着きそうにないんです。
ねえ柚瑠木さん、私はいったいこの感情をどうすればいいんでしょうか?
「また月菜さんはそういう事を……貴女はもう少し男心を理解するべきです。」
私は今、怒られているのでしょうか?少し怒った様子の柚瑠木さんに戸惑ってしまいます。
でも私は今まで父や兄を除くと、女子ばかりの環境で育ってきましたから……男性の気持ちなんて学ぶ機会はなかったんです。だから……
「じゃあ、柚瑠木さんが私に「男心」を教えてくれませんか?」
私が他の男性を信頼する事も一生懸命になる事も嫌なのなら、貴方に教えてもらうしかない。そうじゃないですか、柚瑠木さん?
「分かりました……そんな事を他の男性に頼まれるくらいなら、僕が月菜さんに教えます。」
柚瑠木さんの言葉に喜びそうになると耳元で「これから覚悟しておいてくださいね?」と囁かれて、背中がゾクッとしました。男性の柚瑠木さんを妙に色っぽく感じてしまって……
「……はい。」
「じゃあ、今夜はもう寝ましょうか。明日も朝から忙しくなるでしょうから。」
柚瑠木さんはそう言うと、明かりを消して私も抱きしめたまま目を閉じました。彼の心臓の音が心地よくて私も静かに瞼を閉じて、柚瑠木さんの温もりに安心し眠りについたのでした。