蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


月菜(つきな)さんならそう言うと思って、今度の日曜に聖壱(せいいち)達の部屋に行く約束をしてきました。詳しい話はその日に香津美(かつみ)さんから聞いてください。」

 私は柚瑠木(ゆるぎ)さんの手首を強く掴んでしまったのですが、彼は嫌な顔一つせず優しく話を続けてくれました。
 柚瑠木さんはいつもの無表情のように見えるけれど、私も少しずつ彼の小さな変化に気付けるようになってきた気がします。

「分かりました。手首を掴んでしまってごめんなさい。」

「いえ、何事にも一生懸命な所は月菜さんらしくていいと思いますよ?時々、周りが見えて無いのが心配になりますけどね。」

 今のは褒めて貰えたのでしょうか?私には人より優れたところが無いので、何事も一生懸命努力しなくてはなりません。けれどそれを誰かに認めて貰えたのは……初めてでした。

「……どうして泣くんです?僕はまた何か月菜さんを傷付けるようなことを言いましたか?」

「柚瑠木さんに褒めて貰えて、凄く……嬉しくて……」

 本当に泣き虫でごめんなさい、でも柚瑠木さんが私を喜ばせるような事ばかりをするから。だから……

「嬉しいのにどうして泣くんですか、月菜さんは?」

「嬉しいから……泣くんですよ、柚瑠木さん。」

 私の言う事が不思議でたまらないと言う顔をする柚瑠木さんに、涙を拭った後の少し赤い顔でニッコリと笑って見せました。


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