蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「きちんとしたご挨拶が遅れてすみません。私は二階堂 月菜です。狭山さん、香津美さんにはお世話になったのに、ずっとお礼も言えないままで……」
柚瑠木さんに連れてきてもらった香津美さんと狭山さんの暮らす部屋。2人にぴったりの明るい雰囲気のインテリアに何だかホッとします。
でもまずはあの日のお礼か言わなくてはいけません。私はあの時は気を失ってしまい、感謝の気持ちを伝えることが出来ませんでしたから。
「いいのよ、月菜さん。私も貴女がいてくれたから頑張れたの、世話になったのはお互い様だわ。」
あの時、私は香津美さんの足手まといにしかなれなかったのに……そんな私でも何か香津美さんの役に立てたのでしょうか?
私だって香津美さんが傍で励ましてくれたから頑張れました。一緒に居てくれたのが香津美さんで本当に良かったと思ってます。
何度お礼を言っても言い足りなくてペコペコと頭を下げていると、香津美さんが狭山さんを見て何かアイコンタクトを……
「……ああ、その事なら何度も柚瑠木から礼を言われているよ。もちろん月菜さんの分も含めてな。あと、俺の事は狭山ではなく聖壱と呼んで欲しいかな。」
聖壱さんはそう言うと私を見て悪戯っ子のような笑みを見せてくれました。
まさか柚瑠木さんが私の分までお礼を言ってくれていたなんて、彼からそんな話は聞いていませんでした。本当か聞いてみようとすると、私に隣に立っている柚瑠木さんはなんだか不機嫌そうに眉を寄せて……
「聖壱はどうしてそうやって余計なことまで話すんですか?僕は何度も聖壱の口を縫い付けてしまいたいと思っているんですけどね。」
柚瑠木さんは狭山さんに文句を言い始めました。今のは狭山さんは悪くないと思いますよ、私に隠し事ばかりする柚瑠木さんが悪いんです。