蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「いえ、ミルクティーもタルトも大好物です。ただなぜその事を柚瑠木さんが知っていらっしゃったのかと思って。」
私は一度だって柚瑠木さんに何が好物だとは聞かれたことがありません。柚瑠木さんの好物は、使用人の希子さんにこっそり教えていただいているのですが。
それなのに……
「柚瑠木さんは月菜さんが思っているよりも、ずっと貴女の事を見ているんじゃないかしら?だって彼……自信満々な様子で月菜さんは紅茶が好物だと言っていたわよ?」
「……そうなんですか?」
ちょっと信じられない気持ちです。あの事件のあった日、それまで柚瑠木さんは私の事なんて興味ないのだろうと思っていましたから。
あの日までずっと私は柚瑠木さんにとって都合のいいだけの契約妻だと……でも、もしかして最初から少しくらいは私の事を気にして頂けてたのでしょうか?
「柚瑠木さんが、最近月菜さんの事をよく話してくれるようになったって聖壱さんが言っていたの。私が誘った料理教室の件も貴女の事を思ってOK出してくれたんでしょうしね。」
「柚瑠木さんが私の話を……なんて?」
柚瑠木さんは私の事を聖壱さん達にどんなふうに話しているのでしょうか?もしかして不器用でおっちょこちょいだとか……?