蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「聖壱は昔からなんでも大げさに言う所があるんです。僕は別に、そんな……」
部屋に着くとすぐに柚瑠木さんからソファーに座るように言われて。
どうやら柚瑠木さんはさっきの聖壱さんの発言を早く訂正したかったようです。そんな事わざわざ言わなくても、分かってます。だけどちょっとだけ嬉しかったのに……
「……そうですよね。私の事を気にかけていただけたのかと、少し浮かれてしまってました。柚瑠木さんはそんなつもりじゃなかったんですよね、本当にすみませんでした。」
いつものように頭を下げようとすると、柚瑠木さんに手で止められて……
「そういう事はもう止めて下さい、僕はそんなこと月菜さんに望んではいませんから。それに……」
そうなんですか?でもそれならこれからどうやって柚瑠木さんに謝ればいいのか分からないんです。私に出来る事なんてそれくらいしか……
「僕が月菜さんの事がずっと気になっていたのは、本当の事ですから。」
「……え?柚瑠木さん、もう一回言ってもらえますか?」
さっきは違うって言ったのに……もしかして香津美さんが言っていたように、彼も前に進み始めてくれているのですか?
「だから、貴女にはそんな顔はしないで欲しいんです。分かりましたよね?……僕は今夜はもうお風呂に入って休みますから。」
柚瑠木さんはそのまますぐにバスルームに行ってしまいましたが、気のせいでしょうか。少しだけ彼の頬が赤かったような……?