蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
契約結婚でも新しい事を!
香津美さんと一緒に通う約束をした料理教室の初日、私はそのビルの前で香津美さんが来るのを待っていました。私は柚瑠木さんと結婚してまだ仕事をしていなかったのですが、香津美さんはすでに夫である聖壱さんの秘書をされているそうで……
仕事もバリバリとこなし、聖壱さんに美味しいものを食べさせたいと料理教室に通う香津美さんは本当に素敵な奥さんだと思います。
待ち合わせまでまだ少し時間があるのでのんびりと周りを眺めていると、何かを言い合いながらこちらに近付いて来るカップルが……
「……ちょっと待ちなさい、杏凛。」
「どうしていつもそんなに過保護なんですか!私が行くのはただの料理教室なんですよ?」
あら、あの女性ももしかして同じ料理教室の生徒さんなのでしょうか。じゃあ彼女の後ろをついて来ている大きくて強面な感じの男性も……?
「確かに俺は君が料理教室に行く事には許可を出したが、一人で通ってもいいとは言っていないはずだ。」
「そんなのはこじつけです!匡介さんこそいつも深夜までやっている仕事はどうしたんですか?」
どうやらこのカップルは料理教室に通う事で、2人の間に食い違いでもあったのでしょう。しかしどちらも自分の意見を曲げる気はないようで……大声で話しているため、とても目立っています。
いえ、本人たちが気にしていないのならば私がどうこう言う事ではないのかもしれませんが。