蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
「香津美さん、今日はありがとうございました。それでは、また。」
「ええ、次も楽しみにしてるわ。またね、月菜さん。」
料理教室を終えて香津美さんと一緒にレジデンスへと帰ってきました。
杏凛さんだけは料理教室の外で匡介さんがずっと立って待っていたようで……彼女が外に出るなり手を引いて連れて帰ってしまいました。できれば杏凛さんともう少しお話をしたかったのですが仕方ありません。
ただ、杏凛さんがヤキモチを妬いた旦那さんに怒られたりしないか少しだけ心配なのですが……
鍵を開けて扉を開くとなぜか明かりがついています。私はきちんと照明を消して出掛けたはず……そう思っていると。
「おかえりなさい、月菜さん。」
「柚瑠木さん、今日はお仕事は……?」
普段柚瑠木さんが仕事から帰ってくるのはこの2時間後ぐらいなのです。しかし私の前に立つ柚瑠木さんはすでに部屋着に着替えていて……
「今日は少し用があったので早めに帰ってきました。仕事はきちんと終わらせているので問題ありません。」
「……そうですか。」
だから家にも早く帰って来たという事でしょうか?珍しい事もあるんですね、いつも仕事熱心で夜遅くまで働いている柚瑠木さんにしては。
「……それで、どうでしたか?」
「えっと、何がですか?」
じっと私の事を見つめる柚瑠木さん、彼はいったい何をどうだと聞いているのでしょうか?