蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~
私は柚瑠木さんの質問の意味が分からず、首をかしげてしまいます。すると柚瑠木さんは少しだけ眉間にしわを寄せて小さな溜息を……
また私は柚瑠木さんを呆れさせてしまったみたいです。
「ごめんなさい、柚瑠木さん。私は凄く鈍感なので……」
「……確かに月菜さんは《《もの凄く》》鈍感ですが、呆れているのは月菜さんにではなく僕自身になので気にする必要はありません。」
柚瑠木さん……さりげなく強調しましたよね、鈍感を。それは否定できないので文句は言いませんけれど。それにしても柚瑠木さんが自分自身に呆れているってどういうことなのでしょうか?
「あの、柚瑠木さん。それって……?」
「それより、どうだったんですか?貴女達が今日から通い始めた料理教室は。」
柚瑠木さんは私の料理教室の感想を聞こうとしてくれていたのですね。そんな事まで彼が気にしてくれるとは思ってもいなかったので。
もしかして今日、柚瑠木さんが早く帰ってきたのは私を心配して……?いえ、柚瑠木さんに限ってそんなことは無いと思いますけれど。
「あの、柚瑠木さん……私の事を心配してくれたんですか?」
私が不思議に思って柚瑠木さんにそう聞いてみると、彼はスッと私から目を逸らして……
「……僕らしくない事をしてると、自分でも思っていますよ。」
表情はツンとしながらも柚瑠木さんの少し赤みがかった頬が、彼は嘘をついて無いのだと教えてくれます。どうしよう、私は今すごく嬉しいんです。