甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~
私は両手をブンブンと振って、聖壱さんが驚いて腕を離したすきにベッドの端へと移動する。
いきなり女を抱きしめるなんて……この人はなんて手の早い男なのかしら!
「覚悟しとけよ?」と言われても、それは私がここに来るためにしてきた覚悟とは全く別のもので。
私達はお互いに相手に本気にならないことが前提で、契約婚をしたのではなかったのだろうか?
「わ、私達は5年で離婚するんでしょう?それなのに契約相手の妻に本気になるなんて、貴方馬鹿なんじゃないの?」
勝手な好意を押し付けられたって、私には聖壱さんに特別な感情なんて持ってない。
それに私は今までこんな風に男性に好意を持たれることだって初めてなの。だから冷静な対応なんて出来る訳が無くて……
猫も被る事を忘れて、ついつい素のままで話してしまう。
「香津美は随分気が強いんだな、写真を見た時は人形のような女だな、と思ってたのに。」
「お気に召さないのなら、離婚を早めましょうか?聖壱さんは私みたいな変なお嬢と結婚して混乱してるんでしょう?」
聖壱さんが私との距離を狭めてくるから、私は座ったままズリズリと後ろへと下がる。下がった分聖壱さんが私の方に詰めてきて、とうとう私の背中にヘッドボードか当たる。